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2021.03.01

ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2020 グランドファイナル 優勝チーム“ネモオーロラ” 振り返りインタビュー

ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2020 グランドファイナル 優勝チーム“ネモオーロラ” 振り返りインタビュー

『ストリートファイターV チャンピオンエディション』のカプコン公式チームリーグ戦“ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2020”。
そのグランドファイナルが2021年1月30日(土)に開催された。
リーグ戦上位3チームによる激戦を制し、見事優勝に輝いたのはネモオーロラだった。

本稿ではネモオーロラのメンバー全員にグランドファイナルの各場面における戦略や勝負のポイント、チームメンバーへの思いなどをインタビュー。

今だからこそ話せるエピソードやメンバーへの思いについても伺ったので、みなさんも今一度熱い戦いを見返しつつ楽しんで読んでほしい。


グランドファイナル前の取り組みについて

改めまして“ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2020 グランドファイナル”の優勝おめでとうございます。グランドファイナルトーナメントはポイントの不利を背負った状態からのスタートとなりましたが、事前準備ではどのような取り組みを行っていたのでしょうか?

– ネモ
まずはセミファイナルでウメハラゴールドと戦うので、その対策を話し合いましょうという呼びかけをしたのが、グランドファイナルの1か月前くらいです。

実際の対策は2021年1月に入ってから始めました。メンバーとDiscordを利用して、それぞれが相手メンバーの誰を担当するのか、どんなオーダーのパターンがあるのか、キャラクターBANの選択はどのようにするのかなど具体的な作戦を話し合っていきました。

事前の取り組みで工夫したポイントなどはあったのでしょうか?

– ネモ
話し合いの中で、sakoさんが
「ウメちゃんのガイル対策をするのがええんちゃう?」
と提案してくれたので、その意見を採用しました。

ウメハラさんのガイルはもちろん脅威なのですが、結局一度しかBAN対象に出来ないですから、2巡目以降のことを考えた場合に結局ガイルの対策をしなきゃいけないなと。

それならば、逆にガイルをBAN選択しない前提で、メンバー全員がガイル対策を準備した状態で臨みつつ、相手チームの他メンバーをBAN対象にするプランが良さそうだなって考えました。

ガイルをBAN対象にしない作戦というのは意外というか、面白いプランですね。ガイルにフォーカスした取り組みはどのように進めていったのでしょうか?

– sako
取り組みのメインは強豪ガイル使いのひぐちくんにお願いして、ネモオーロラ全員が集まってラウンジ対戦で特訓をしましたね。

その特訓の中で、各メンバーがどのくらい対策が出来ているのか、実際の勝率はどの程度かといったリアルな情報を共有していった流れです。

その結果、俺のメナトがウメちゃんのガイルに一番イケそうってことになったので、まずは俺がガイルを担当するって流れになったっていう感じになりました。

– ネモ
自分としてはメンバー間で情報を共有したっていうのがすごい大事なんですよ。事前の話し合いではガイルに対して僕とガチくんは分が悪いと感じていた一方で、sakoさんとキチパはイケるって考えていたんです。

でも、実際に合同練習をしてみるとキチパはひぐちくんのガイルに全然勝てなかったんですよ……。でもこれは想定内でもあって、それぞれ自分自身が思っている印象と現実っていうのは違うこともあり得ると思っていました。

だから、今回のようにみんなが一緒になって情報を出し合うことで、そのズレた部分を修正して、メンバー全員が納得する形の準備が出来たっていうところが良い取り組みのポイントだったと思います。


セミファイナル:ウメハラゴールド戦

【1巡目終了時点結果】

1巡目

対戦選手
(使用キャラクター)

勝敗

対戦選手
(使用キャラクター)

先鋒戦 カワノ
(コーリン)
1-2 ガチくん
(かりん)
中堅戦 まちゃぼー
(豪鬼)
0-2 ネモ
(ユリアン)
大将戦 ウメハラ
(ガイル)
1-2 sako
(メナト)
獲得ポイント 1   4

【2巡目終了時点結果】

2巡目

対戦選手
(使用キャラクター)

勝敗

対戦選手
(使用キャラクター)

先鋒戦 カワノ
(ポイズン)
0-2 sako
(セス)
中堅戦 まちゃぼー
(豪鬼)
0-2 ネモ
(ユリアン)
大将戦 ウメハラ
(ガイル)
1-2 ガチくん
(ラシード)
獲得ポイント 1   8

チーム全体が同じ方向を向けているというのは素晴らしいですね。そのような質の高い事前準備をした上でセミファイナルを迎えたわけですが、結果はなんと2巡分6連勝のストレート勝利。完全勝利の要因はどこにあったのでしょうか?

– ネモ
正直出来過ぎなところはあったんですけど、やっぱり事前準備の差が出たんじゃないかなって思いましたね。

先にお話ししたガイル対策とかはもちろんのこと、今回のグランドファイナルは日が近くなってからオンライン開催に変更となり、それによってオーダーも先鋒戦から大将戦まで一気に申請する形式に変更となりました。

自分としてはルール変更の内容を聞いた時に、「チーム戦略に影響が大きい変更だな」と感じたので、すぐにオーダーやBAN選択をしっかり練り直したんですね。一方でウメハラゴールドはその辺りに上手く対処できていなかった印象を受けたので、試合内容以前のチーム戦略で差がつけられたのが一つの要因じゃないかなと思いました。

– sako
こっちとしては相当キツイ戦いになるだろうなって思っていたので、準備やチームの雰囲気など出来ることは全部やって臨んだ形です。でもそれに対して、相手からはウチのチームほどの士気を感じられなかった。1巡目の先鋒戦が終わったときにそれを強く感じたので、「これはつけ込めるな」って思いましたね。

確かにネモオーロラは1巡目で狙い通りにsakoさんが、2巡目ではラシードのBANを終えたガチくんが大将戦でウメハラさんとマッチアップしていて、オーダーの読みが冴えていた印象です。戦略としてはどういったプロセスでオーダーやBAN対象を選んでいったのでしょうか?

– ネモ
まず出場メンバーの選出ですが、合同練習の結果を見て僕、ガチくん、sakoさんの3人と決めていました。

次にBAN選択とオーダーについてですが、なんといってもポイントはウメハラさんのガイルにこちらのオーダーを上手く噛み合わせることでした。

BAN選択については、最初にBAN対象となるのはガチくんのラシードが濃厚で、その次はsakoさんのメナトだろうなと考えていました。そしてこちらとしてはそれぞれがBAN対象となった際に、一番苦手となるキャラクターをBAN対象に選ぶのが重要でした。それが1巡目はネカリを、2巡目はコーリンを選んだ流れですね。

そこまで行けば、あとは自然と相手チームもウメハラさんを大将にせざるを得ず、こちらもsakoさんやガチくんといった狙い通りのメンバーを大将に据えるのが自然です。そして大将戦を勝つことでまずは2ポイント、加えて僕かガチくんが頑張って1ポイント取れれば御の字だと考えましたね。

結果としてこの一連の流れが大当たりしたので、チームとしても良い状態で試合に臨めました。

お話を聞く限り、完璧な考察と読みだったんですね。実際の試合内容を振り返ってみて、皆さんの中で印象に残ったことやポイントとなった部分はどこだったのでしょうか?

– ガチくん
僕は1巡目を先鋒でカワノのコーリンと、2巡目を大将でウメハラさんのガイルと戦いましたが、どちらも準備してきた内容がしっかり出せたのが良かったですね。

コーリン戦については終わった後に、「ここで勝ったおかげでチームが勢いづいた」と言ってもらえたので、勝利したことはもちろんチームに良い影響を与えられたことが嬉しかったですね。

ガイル戦については、大会の一週間前に新しい戦法を取り入れたのがポイントです。昨年末にウメハラさんのガイルと10先をやって負けてしまったこともあり、ガイル対ラシードの戦い方についてはいろいろと試行錯誤していました。今まではガイルの飛び道具であるソニックブームに対して“弾抜け”を狙うことを重視していましたが、それを地上戦の“差し返し”を意識するスタイルに変えたんです。そこを起点としてお互いの動きが変わっていったことで、こちら側がやりやすい試合展開になりました。

– ネモ
自分は2戦ともまちゃぼーの豪鬼でしたが、セミファイナルに向けてはコーリンと豪鬼の対策に重点を置いていました。

仕事の合間をぬった準備だったので時間が十分に取れない中でしたが、ゲーム内の“CFN”機能を活用して、まちゃぼーのリプレイをたくさん見ることで対策を進めましたね。

多くのリプレイを見ることで、まちゃぼーの豪鬼の動きの傾向が掴めたので、それが試合に臨むうえでの指針になりました。実際の試合ではその指針が序盤にかなり機能しましたし、まちゃぼーがそれに対応した動きをしてくるのも想定していたので、こちらはさらにその先を行く展開も用意していて、終始“人読み”が上手く刺さった印象でしたね。

– sako
俺としては1巡目のガイル戦でしっかり勝てたのがやっぱり大きかった。ウメちゃんの動きからメナト対策の具合が早い段階で掴めたので、そこに被せる形で戦えたのが勝ちにつながったポイントでしたね。

具体的にはメナトと水晶でガイルを挟み込んだ際、ウメちゃんは“ソニックブーム”をすぐに撃つ対策を取っていた。これは数年前にウメちゃんが韓国のInfiltration選手のメナトに苦戦していたときに俺が授けたアドバイスだったんです。この試合でもウメちゃんはそれを忠実に行っていたので、こちらとしてはそこの先を行く対策として、前ジャンプを通すことでリターンを取る流れを作りました。

2巡目はカワノくんのポイズン戦。これは対策をていたけど、実はそんなに自信が無かった組み合わせで、予めメンバーに「ガン攻めでいくわ」って話をしました。実際の試合でもそのスタイルが上手く通しきって勝った感じですね。

– キチパ
僕はセミファイナルではずっとサポートでしたが、始まる前まではもっと拗れた戦いになるだろうなと予想していました。でも1巡目を全勝して、2巡目のBAN選択やオーダーが読み通りになったところでイケるなって思いましたね。最後のガチくん対ウメハラさんの試合も、ガチくんの動きがすごい良くて、僕からしたら負ける想像が出来なかったくらいですね。


グランドファイナル:トキドフレイム戦

【1巡目終了時点結果】

1巡目

対戦選手
(使用キャラクター)

勝敗

対戦選手
(使用キャラクター)

先鋒戦 板橋ザンギエフ
(アビゲイル)
0-2 キチパ
(アビゲイル)
中堅戦 りゅうせい
(セス)
1-2 ガチくん
(かりん)
大将戦 ときど
(豪鬼)
2-1 sako
(メナト)
獲得ポイント 2   2

【2巡目終了時点結果】

2巡目

対戦選手
(使用キャラクター)

勝敗

対戦選手
(使用キャラクター)

先鋒戦 ときど
(豪鬼)
1-2 ネモ
(ユリアン)
中堅戦 板橋ザンギエフ
(ザンギエフ)
2-1 sako
(セス)
大将戦 りゅうせい
(ユリアン)
1-2 ガチくん
(ラシード)
獲得ポイント 3   5

【3巡目終了時点結果】

3巡目

対戦選手
(使用キャラクター)

勝敗

対戦選手
(使用キャラクター)

先鋒戦 板橋ザンギエフ
(アビゲイル)
2-1 ガチくん
(ラシード)
中堅戦 りゅうせい
(ユリアン)
2-0 ネモ
(ユリアン)
大将戦 ときど
(ユリアン)
1-2 sako
(メナト)
獲得ポイント 5   7

実に理想的な戦略と内容でセミファイナルを勝利した後は、トキドフレイムとのグランドファイナルを迎えました。グランドファイナルに向けた事前の取り組みはどの程度行っていたのでしょうか?

– ネモ
ウメハラゴールドに勝つことを重視してかなりのリソースを割いていたので、トキドフレイム戦でのチーム戦略は当日に行いましたね。トキドフレイムは出場するメンバーも使うキャラクターも絞られたチームだったので、それで良いだろうってチーム全体が考えていましたね。

ときどやりゅうせいが使うユリアンと板橋ザンギエフが使うアビゲイルはこちらも使うキャラクターでしたし、セミファイナルを終えてチームの雰囲気がとても良かったので、不安などはほとんどありませんでした。

実際に試合が始まってみれば、常に拮抗しながら3巡目の大将戦まで縺れ込む展開となりました。まず1巡目のオーダーではどのような戦略を組まれたんでしょうか?

– ネモ
グランドファイナルで重要視したのは、「BAN対象にならなかった選手が大将戦でしっかり勝つ」ってことですね。それをベースにしたときに、sakoさんの仕上がりが一番良かったので、まずはsakoさんが分が悪くなる相手をBAN対象にしつつ、大将に据えるプランにしました。

当初は僕、ガチくん、sakoさんで行く予定だったんですが、このラインナップだと相手が迷った結果として、メナトを選ぶ可能性を感じたんです。なので、敢えて自分ではなくキチパを起用することで、メナトがBANされる可能性を減らしたのがポイントですね。

– sako
本番の1時間前くらいに決めた話だったね。

– キチパ
直前であったんですけどかなり納得できる内容でしたし、なにより出番があることが嬉しかったので気合が入りましたね。

チームの良い雰囲気も相まって、アドリブを効かせつつ準備をされていたんですね。ネモさんはキチパさんに対してやや厳しい目線を持っているようでしたので、ここで起用するというのは大胆な判断ですね。

– ネモ
キチパに対しては、ウメハラゴールド戦については早い段階で出す予定がないことを伝えていました。でも本人はそれであっても、「もしかしたら出番があるかも」と考えてきちんと練習していたんです。

本番1週間前に合同練習をした際にも、実力が上がっているのは見て取れたので、任せるならここだろうという思いで託しましたね。

お互いの信頼関係が見える良い話ですね。そのようなチーム戦略を経た1巡目は、結果として2ポイントずつ獲得してのイーブンとなりました。印象的な部分はどういったところでしたか?

– キチパ
僕としては、アビゲイルのミラーマッチを準備の段階で想定していなかったので、やや不安でした。

でも、そもそも僕がザンギエフをメインで起用するうえで、相性の悪いアビゲイルに対抗するために自分でもアビゲイルを使い始めたという経緯があったので、普段の取り組みでの対策は出来ていました。

特に板橋ザンギエフさんのアビゲイルは常に参考にしていたのもあって、相手の動きの傾向や手癖が掴めていたから勝てたと思いましたね。

– ガチくん
りゅうせいとの試合は予め想定していて、かなり準備していました。リーグ戦ではセスに対してサガットを選んでいたのですが、セミファイナルの分も含めて3キャラクターを仕上げるには負担が大きかったのでかりんで戦う準備をしたんです。

また、対策をするうえで“CFN”からりゅうせいのリプレイを見たところ、サガット戦を詰めていたんですよね。その準備の差もあって勝てた試合でした。

– sako
俺としてはここでときどの豪鬼に負けたのはすごい悔しかったですね。1試合目はかなり良い動きで倒したんですが、その流れが若干の油断を生んだのか、あと一歩というところから切り返されて“瞬獄殺”を決められて……。そこから防御に迷いが生まれてしまって、その心の隙間を突かれて一気にやられてしまった感じですね。

1巡目が終わった段階の雰囲気や2巡目に向けた戦略などはどのような内容だったのでしょうか?

– ネモ
sakoさんの動きがかなり良かったので、負けたのは結果論と考えました。チームの士気も変わっていなかったので、sakoさんのメナトを軸にしたプランは変えませんでしたね。2巡目でキチパをサポートに回して、当初の予定通り自分が入ることにしたくらいです。

その一方で2巡目はメナトをBAN対象にされるだろうなという予測が立っていたので、2巡目ではガチくんを大将に据える前提で、ラシードが一番相性の悪そうなアビゲイルをBAN対象に選びました。

BAN選択の読み合いについては一貫して鋭い考察ですね。試合結果としてはこの2巡目で3ポイントを獲得して優位に立ちました。それぞれの試合についてはいかがでしたか?

– ネモ
自分のユリアンとときどの豪鬼については、事前に作っていたイメージが上手く働きました。ときどは豪鬼もユリアンも使うので、“CFN”で「ときどユリアンの豪鬼戦」と「ときど豪鬼のユリアン戦」をたくさん見ていたんですね。そこで役に立つポイントをいくつかピックアップして、本番でも上手く対応できたのが勝因です。

– sako
板橋“ザンギエフ”戦についてはめっちゃ疲れた試合でしたね(笑)。
セスは体力が低いので不用意に攻められないんですが、相手のザンギエフもセスの立ち中キックを警戒して踏み込んでこないので、お互いに様子見をする“氷の戦い”になりましたね。

その中でも上手くリードを作って戦っていたのですが、最後の最後に前ステップからのクリティカルアーツを決められてしまって……。前ステップに対しては弱攻撃を置いていたんですが、反応が少し遅れてしまって決められたのが心残りでしたね。「あれだけ頑張ってこれで終わりか……」って思いました。

– ネモ
sakoさんは何も悪くないですよ……。全てはザンギエフが悪い。

– ガチくん
1巡目もそうだったんですけど、sakoさんは終始良い動きをしていたので、チームの雰囲気は全然悪くならなかったんですよね。

大将としてのりゅうせいのユリアン戦は、序盤に相手の強気な選択肢にやられてしまったんですけど、日和らずに自分の動きをしっかりと出来たのが良かったですね。今シーズンのユリアンは苦しめられた反面で対策もしていたので、大事な局面で勝てて良かったです。

2巡目を終えて2ポイントのリード。3巡目を迎えるにあたっての胸中や戦略の組み立てはいかがだったのでしょうか?

– ネモ
リードを取ったっていうのはすごい楽な気持ちになりましたよね。大将さえ取れれば勝ちですし、しかもこちらとしては確実にsakoさんを大将におけるわけですから。

トキドフレイムがギルをBAN対象にするというのも想定内でした。トキドフレイムはユリアンのミラーマッチを詰めていると予想していたし、リーグ戦でもりゅうせいのユリアンにギルで勝っていたので、対策しづらいギルよりはユリアンのミラーマッチを仕掛けてくる可能性が高いと思いましたね。

オーダーについてはもう終盤なので、あまり深くは考えませんでした。自分としてはもう「sakoさんあとはお願いします!」って感じでした(笑)

– sako
俺としては、大将まで回されると負けられない展開になってプレッシャーがかかるから、中堅までで決めてくれって思ってたけどね。

実際に始まってみれば、3巡目は大将戦まで縺れることとなりました。それぞれ最後の試合はいかがでしたか?

– ガチくん
板橋ザンギエフさんとのアビゲイル戦は、2巡目で避けていた展開だったので、キツい印象でしたね。自分にとって一番勝率が低いプレイヤーだと思います。

キチパに協力してもらって対策もしていたんですけど、試合では元々持っていた苦手意識から弱気なところが出て負けてしまった感じでしたね。

– ネモ
自分はりゅうせいのユリアンに割と自信があったんですが、りゅうせいの成長度が想定以上でしたね。

りゅうせいのユリアンは、もともと自分のユリアンを参考にしていた印象だったんですが、今はときどのユリアンのスタイルも取り入れていました。そこが予想とはズレたポイントで、こちらが対応する前に一気にやられてしまった形です。

– sako
改めて振り返ってみても、ときどのユリアンはすごい極端な動きから入ってきたなって印象ですね。強い技をひたすら繰り出してペースを奪いに来るスタイルに正直面食らいました。

先に1試合落としましたが、冷静に考えると「こういったタイプのユリアンって割といるな」って気づいたんですよね。あくまで普段のときどとのギャップに驚かされただけで、知識や経験としては自分の中にあったんです。

その後は要所の読み合いで負けることはあったものの、それは相手がEX技で割り込んできたりとEXゲージをどんどん使っていたからです。その展開であれば、終盤にお互いのVトリガー勝負になったところでこちらが有利な状況になるので、動揺はありませんでした。

一つずつしっかり対処していったら、途中からときどが受けを意識して失速してきたんですよ。それはこっちとしてはありがたい展開です。最初のままのペースで来られたら不安だったのですが、結果として相手が受けに回ってこちらも落ち着けたことが「これは勝てるな」って思った瞬間でしたね。


それぞれのネモオーロラへの思いとは。

最後の大将戦を見守るメンバーとしてはどんなお気持ちでしたか?

– ネモ
自分もときどの動きに最初はかなり驚きましたが、それはsakoさんに対してキツい印象を持っているからだなっていう風に感じました。

2試合目の最終ラウンドで体力が僅かになった時は「負けたかも……。」って思いましたが、そこを凌ぎ切った瞬間にガチくんと一緒に「これ勝ったな」って話しましたね。

– ガチくん
展開が激しすぎてもう気が気じゃ無かったですよね。勝った瞬間には自分が試合をしていたわけじゃないのに、我を忘れて叫んでました(笑)

そしてキチパはsakoさんの試合中から泣いてたんですよ。

– キチパ
ネモさんが言うように、2試合目のピンチから逆転した際に「首の皮一枚繋がった」って思って、そこから「sakoさんなら勝てる!」って気持ちが昂ったら、感極まって泣いちゃったんですよね。

ここまで一丸となって戦ってきたからこその感情ですよね。その結果、見事ネモオーロラが優勝を果たしたわけですが、優勝を果たした上での今のお気持ちはいかがでしょうか?

– ガチくん
長い期間を一緒のチームとして戦ってきたので、優勝した瞬間に個人戦とは全く違う嬉しさがこみ上げました。

チーム戦ならではの取り組みも多かったので、ネモオーロラの一員としての練習が自分にとって大きな成長になったなと感じましたね。

– キチパ
僕もこのネモオーロラのメンバーとして取り組めたことで、プレイヤーとして成長できたことにとても感謝しています。

自分自身がもともと弱点と考えていた「攻め気」の部分を指導してもらって、チームで勝つために、弱点を克服する努力が出来たというのは、今後にも活かせる大事なことだったと思います。

– ネモ
自分自身がグランドファイナルを迎えるにあたって、仕事の関係で万端といえる準備が出来ていない中、チームメイトはしっかり仕上げてきてくれました。そんな信頼できる強いメンバーとともに、自分も含めた全員が活躍出来て、最高の結果が得られたことは、素直にすごい嬉しかったですね。

– sako
格闘ゲームは結局「1対1」のゲームなので、チーム戦とはいえ「結局は個人の戦いでしょ。」って考えていました。

でもネモオーロラのメンバーと一緒に戦っていくことで、「チーム戦は全然違うな」って考え方が変わっていったんですよ。チーム戦としての練習や取り組みをしないと勝てないんです。

特にネモオーロラは他チームと違って、絶対的なエースがいるわけでもなく、メンバー全員がどこか欠けているんです。そのメンバーがいろいろ試行錯誤をした結果、優勝できたのはすごい良い体験でした。

そういった思いもあり、最後の大将戦に勝った瞬間、自分でも驚くくらいの声の大きさで「よっしゃー!!」って叫んでましたね(笑)


今だからこそ話せるエピソード

ここまでお話を聞いて、実力だけでなく熱意やお互いを思う気持ちがチームとしての完成度に繋がったんだなと感じました。最後になりますが、リーグ戦を通した道中で今だからこそ話せるエピソードやメンバーへの思いがあれば教えてください。

– ネモ
エピソードだと、グランドファイナルのトキドフレイム戦で、1巡目先鋒戦でキチパが出るときですね。

当初はこちらも期待して先鋒戦をキチパに託したわけですが、相手が板橋ザンギエフのアビゲイルだって発表された瞬間、キチパがすごい弱気になったんですよ。

ネモオーロラは試合をする時は通話を切って、試合に集中して臨んでもらってたんですが、この時だけキチパが「通話繋いどいてもいいですか?何かアドバイスあったらください」とか言い出すんです。

こっちからしたら、試合中にアドバイスをする練習もしていないですし、何しろアビゲイルのミラーマッチなんて当人同士しかわからないですよ。だから無理やり通話を切らせて試合に送り出しました。

– sako
あの時は相当ビビっていたよね。

– ネモ
結果としては勝ってくれてよかったんですが、あの瞬間は先鋒に選んだことをちょっと後悔しましたね。

– キチパ
あの時はホントすみませんでした……。でもあのやり取りのおかげで腹括れたのもあったのでありがたかったです。

– ネモ
もう一つは今回はグランドファイナルはとにかくsakoさんのメナトが強かったですよね。あれを見たらsakoさんがリーグ戦からメナトに集中していたら、もっと道中が楽だったなって思いましたね(笑)

– sako
当時はセスが面白かったんだって(笑)

でも実際のところ。PC版でのプレイやモニターの変更など、自宅でのプレイ環境が変わったことが、再度メナトに向き合うことに繋がりました。今まで難しいと避けていた動きを取り入れたり、新しい可能性を発見できたのは面白かったですね。

チームならでは絆を感じさせる話などたくさん聞かせていただいてありがとうございました。みなさんのこれからの活躍にもぜひ期待しています!

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