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2020.09.11
How to SFL Vol.1 ストリートファイターリーグの歩み
『ストリートファイターV』公式チームリーグ戦である“ストリートファイターリーグ”は、今期で3回目を迎える。トッププレイヤーに加え、ビギナーやハイクラスといったさまざまなレベルのプレイヤーが力を合わせ、しのぎを削った第1期“ストリートファイターリーグ powered by RAGE”。
続く第2期“ストリートファイターリーグ: Pro-JP operated by RAGE”では、本戦までの道のりとして学生限定の大会やアーケード専用の大会といった数々の公式イベントを開催。それらを潜り抜けた猛者たちとプロたちからさらにドラフトを行い、選び抜かれたトッププレイヤーたちが熱いリーグ戦をくり広げた。
第1期から第2期で大きな変化を遂げてきたストリートファイターリーグは今期では4人1組”チームを採用。第2期から採用された“キャラクターBANルール”もさらに変更が加えられ、チーム戦ならではの戦略や読み合いが重要になっている。
今回はストリートファイターリーグの開催を前に“ストリートファイターリーグの歩み”と“今期リーグ戦の見どころ”についてご紹介する。本記事を読みチーム戦ならではの魅力や盤外での読み合いを知ることで試合観戦がより面白くなるだろう。
第1期:“ストリートファイターリーグ powered by RAGE”
まずは、いままで行われてきた歴代のストリートファイターリーグについておさらいしよう。
2019年初頭に行われた“ストリートファイターリーグ powered by RAGE”は『ストリートファイターV』によるカプコン公式のチームリーグ戦として初めて行われた大会である。
CAPCOM:ストリートファイターリーグ 2018 公式サイト
この大会では予め各プレイヤーをJeSU公認プロライセンスを持つ“エクストリームクラス”、ライセンス未所持ながらプロに準じた実力を持つ若手強豪の“ハイクラス”、『ストリートファイターV』に取り組み始めオーディションを潜り抜けた“ビギナークラス”の3つに分類。
チームはそれぞれのクラスがひとりずつ参加する3人1組のチーム戦とし総当たりのリーグ戦を実施。各試合は同じクラス同士で行われ、勝利した側にはクラスに応じたポイントを獲得し、10節終了時点でのトータルポイント獲得数を競った。
また、この大会では特別ルールとして“Final act”を採用。1回のチーム戦が「6-0」と一方的な結果になった場合、負けたチームのハイクラスやビギナークラスの選手が相手チームのエクストリームクラスに挑戦。設定された条件をクリアすることで、特別にポイントを獲得できるというユニークなルールが採用された。




この大会ではポイント獲得数の大きいエクストリームクラスの戦いが注目されたのはもちろんのこと、ビギナークラスやハイクラスの選手たちがプロのアドバイスを受けることで、リーグ期間中に大きく成長しチームに貢献していく姿が大きな見どころとなった。
大会の結果はすべてのクラスがバランスよく活躍した“イタザンオーシャン”(板橋ザンギエフ、もっちゃん、木村圭太)がトップの成績でグランドファイナルへ進出。続くグランドファイナルも制し初代ストリートファイターリーグ覇者となった。

第2期“ストリートファイターリーグ: Pro-JP operated by RAGE”
第1期に続き2019年に行われた“ストリートファイターリーグ: Pro-JP operated by RAGE”は、リーグ戦としての魅力はもちろんのこと、そこに至るまでの道のりを含めた“プロに至るためのへ道程”が大きく拓かれた大会となった。
本戦となる“Pro-JP”をトップとし、JeSU公認プロライセンスを持たないすべてのプレイヤーを対象にした”Rookie’s Caravan”、各地のアミューズメント施設で行われる”Arcade”、学生専門大会である“Collage-JP”と様々な形式で大会を実施。
それらを潜り抜けた猛者たちをトライアウトで選抜し、さらには第1期と同様にドラフト会議を行うことですべてのチームが最強と言えるチームを作り、第1期を上回るハイレベルでアツい戦いをくり広げた。

リーグ本戦では第1期と違いクラスの区別はなく、先鋒、中堅、大将のそれぞれが試合を行い、結果に応じたポイントを獲得。前期と同様に10節を通じた総ポイント数を競い合った。
(先鋒、中堅は1ポイント。大将のみ2ポイント獲得)
また、第2期からは相手の使用キャラクターを制限させる“キャラクターBANルール”を採用。これは、お互いのチームが戦う前に自分たちにとって厄介なキャラクターをBANすることで、相手チームはそのキャラクターが使用不可になってしまうというもの。
チームとして勝つために相性の悪いキャラクターをBANしたり、相手のBANを読んでオーダーやサブキャラクターを事前に準備したりとゲーム以外での盤外的なチーム戦略が必要とされた。



リーグ本戦では相手チームから集中的なBANを受けたまちゃぼーが、サブキャラクターの豪鬼で大活躍。マゴスカーレット(マゴ、まちゃぼー、ユージ)がポイントトップでグランドファイナルへ進出した。
グランドファイナルでも引き続きBANされてしまうものの、チームメンバーの活躍もあり第2期リーグの覇者となった。なお、このシーズンでは日本だけでなく、アメリカでも同様にプロリーグ「Street Fighter League: Pro-US 2019」が行われており、それぞれの上位2チームが2019年末に直接対決を実施。マゴスカーレットはその日米対決をも勝利し、第2期ストリートファイターリーグの完全制覇を果たした。

第3期:”ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2020”は、進化したルールにより読み合いは次のステージへ
第2期までのおさらいをしたところで、つぎは今期のルールで重要になるポイントを押さえていこう。
変更ポイント
1 |
チームは4人1組。(試合は従来通り先鋒、中堅、大将の3人を選出) |
2 |
キャラクターBANルールは引き続き採用。その節で出場するメンバーが決定してからBANキャラクターをピック。 |
3 |
全10節の内、各選手はリーグ前半(1~5節)とリーグ後半(6~10節)のそれぞれで最低1回以上出場する必要がある。 |
4 |
リーグ戦は全10節を行い、同じ相手チームに対してリーグ前半とリーグ後半で同じキャラクターをBAN出来ない。 |
まず、大きな変更点はチームが“4人1組”になったことだ。これは単純に4人同士で試合を行うというわけではなく、試合自体は3人が出場し1人はリザーバーとなる。4人1組というルール上の補足として、全選手は必ず前後半でそれぞれ1回、計2回以上、参加しなければならない。それに加えて、リーグ戦では同じチームと2回ずつ当たるわけだが、1回目と2回目では同じキャラクターをBANすることができない。
なお、キャラクターBAN”は、前回と同様。ただし、キャラクターBAN自体はその節で参加するメンバーが選ばれた後に設定する。これにより、“BANしたキャラクターを使う選手がそもそも試合に参加しない”という読み合いの肩透かしは発生しないようになっている。
また、前回は必ず決まった3人が試合に出ることがわかっていたため、キャラクター構成によっては厳しい組み合わせがいくつか決まっていた。しかし、今期は極端に相性の悪い組み合わせが想定された場合、無理に出場せずリザーバーとなり、ほかのメンバーを出場させる“回避策”が取れるようになった。
そういった相手チームへの対応幅が広がった一方で、同じキャラクターをBANすることができないということは、自分たちが有利な場合にもひとつの戦略だけで戦い抜くことができない。出場選手そのものが1回目と2回目で変わる可能性もあるため、さまざまなケースを想定して準備をしておくことがポイントになり、前回以上にオーダーの読み合いが深まったと言えるだろう。
今期リーグ戦の観戦における見どころは「予測」と「意外性」
変更点を把握したところで、最後は今期の見どころについて紹介しよう。
今期のルールから試合を予測するうえで注目すべきポイントは、
- 大将戦を軸にしたBANとオーダーの読み合い
- BANをされた選手のサブキャラクターの活躍
今期リーグ戦でもっとも重要なのが大将戦である。大将戦は他の試合より多くのポイントを獲得できるため、どのチームも重要視している。おもにリーダークラスが出ることが予想されるが、それと同時にBANの集中も想定されるため一概に安定とは言えない。
同じチームと2回戦う中で同じキャラクターをBANできないことも考えると、前半と後半のどちらで誰をBANするかといったタイミングも考えておく必要があるだろう。
また、一方でそれらの予想を真っ向から覆すようなサブキャラクターの活躍にも期待したい。前回のように安定と思われるキャラクターをBANしたにも関わらず、想定外に高い仕上がりを見せるサブキャラクターというのは上位抜けへの大きな功績になる。
とくに前回BANが集中していた選手は、全員がサブキャラクターへの取り組みに注力しているようなので、その辺りも含めていろいろと予測を立てて見てみるといつもの試合観戦以上にのめり込めることは間違いないだろう。